Nano Insight Japan

【横河バイオフロンティア】
高付加価値バイオマスマテリアルの「横河バイオフロンティア」 -セルロースナノファイバーやリグニンモノマーで持続可能な炭素循環を!- 

2021年11月26日

横河バイオフロンティア

横河電機株式会社は「持続可能な炭素循環の実現」を目指す横河バイオフロンティア株式会社を2021年1月に設立した。新会社は、革新的な植物由来バイオマスマテリアルの製造と販売及び、それに関連するライセンス供与やコンサルティングを行う。高付加価値バイオマスマテリアルの開発と商業化に注力し、生物由来素材の導入を検討する素材産業の企業に貢献する。事業領域は、木質原料から得られるセルロースやリグニンを資源化するバイオマス事業及び、藻類から抽出するアミノ酸や可食バイオマスを活用するスマートセル事業(生物細胞の物質生産能力をバイオテクノロジーとデジタル技術により設計・制御して引き出す)に分けられる。
  同社の事業の強みは、取り扱う材料の優位性、即ち高付加価値・多様性・コスト競争力があり、グローバルなパートナーとの戦略的技術提携や、原料調達により新たな価値をこれまでの横河電機で培ってきたIA(Industrial Automation)のノウハウ活用した高度生産プロセスで創造されることである。nano tech 2022では、同社独自の硫酸エステル基を持つセルロースナノファイバー(S-CNF™)やパートナーとの技術提携によるリグニン製品および、微細藻類由来のバイオスティミュラントなどの出展が期待される。ここでは、同社が特に力を入れている硫酸エステル化セルロースナノファイバー(S-CNF™)を中心に、その概要を紹介する。

 

高付加価値化セルロースナノファイバー(S-CNF™)

【期待する主要な業界・産業分野】化学、食品、製薬をはじめとする広範な分野

セルロースナノファイバーは機械的強度が高く、軽量な材料として近年注目されている。製法にはセルロースを機械的に極細繊維まで解繊する方法と、セルロースの分子骨格にイオン性官能基を導入して繊維同士の静電気的反発力で繊維を分離させる方法が知られており、それぞれ実用化を目指して開発が進められている。セルロース繊維に静電反発力を与えるイオン性官能基の導入にはTEMPO酸化法によるカルボキシル基が良く知られているが、それ以外にリン酸エステル化、硫酸エステル化なども研究されている。S-CNF™は、独自技術による硫酸エステル化で得られたもので、分子骨格中に導入された解離定数の大きい硫酸エステル基の強い静電反発力により、良好な分散性が実現される(図1、図2)。これまでの多くのセルロースナノファイバーは一旦粉末化すると、再び水に戻してもチキソ性などの特性を十分再現する形での再分散は難しかったが、S-CNF™であれば粉末化後でも各種特性は失われずに水分散が可能である(図3)。S-CNF™は粉末状態で提供されるので、水分散製品とは異なりユーザーにとって処方設計の自由度が大きい。さらに、これまでのセルロースナノファイバーは濃度数%の水分散液状態で保管、輸送しなければならなかったが、S-CNF™は粉末状態で取り扱えるので保管や輸送のコストが大幅に低減される。これは輸送時のCO2排出削減となりユーザーのライフサイクルアセスメント(life-cycle assessment: LCA)にも貢献する。

図1 : S-CNF™の化学構造イメージ

図2 : 繊維径3-4nmのCNF

図3 : S-CNF™粉末の水再分散

香料や医薬品原料となるリグニン

【期待する主要な業界・産業分野】化学、食品、化粧品、製薬業界

 

ヘミセルロースやリグニンはセルロースとともに植物細胞壁の主要構成成分であるが、これまであまり利用されてこなかった。リグニンを分解して得られるフェノール化合物であるモノリグノールは、現在石油から合成されているフェノールに代わり香料、フレーバー(食品香料)、化粧品、医薬品などの原料となると期待されている。しかし、複雑で多様な化学構造のリグニンをモノリグノールに商業規模で分解するのは困難であった。スイスのBloom Biorenewables SA社は、初めて高収率でリグニン分解し工業化に成功した。横河バイオフロンティアはBloom Biorenewables SAをパートナーとしてリグニンモノマーの市場開拓を行う。

植物の成長を助けるバイオスティミュラント(Panacea™)

【期待する主要な業界・産業分野】農薬・肥料メーカー、農業に携わる企業・団体

藻類から抽出したアミノ酸には、肥料の吸収を促進したり、害虫への耐性を与えることで植物の生育を助けるバイオスティミュラント(生物刺激剤)として作用するものがある。横河バイオフロンティアは、スペインのAlgaEnergy社が微細藻類を原料として開発したPanacea™(パナケア)をはじめとするバイオスティミュラントの国内販売を支援している。植物とその周辺環境が持つ自然の力を引き出し、農作の物健全性維持に貢献するという。
 横河バイオフロンティアは、nano tech 2022の同社ブースに、直接あるいはオンラインで多くの方にお立ち寄り頂き、これらの素材についてご議論いただくことを期待している。そして、同社のビジョンである「環境にやさしいバイオマス由来材料の普及と炭素循環社会の形成」に貢献することを目指している。

 

(注)写真は全て横河バイオフロンティアから提供された。

小間番号 : 2E-19  

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