Nano Insight Japan

【S-Nanotech Co-Creation】
島根大発ベンチャーが安価な
酸化亜鉛、地元特産品のエゴマなど
で様々な事業を展開 事業パートナーや製造販売先を募集

2021年11月26日

S-Nanotech Co-Creation

島根大学発ベンチャーのS-Nanotech Co-Creation(エスナノテク コ・クリエーション=SNCC、松江市、藤田恭久社長)は、島根大学から生み出された数十件の研究シーズを基に事業化に向けた応用開発等を行っている。nano techでは、酸化亜鉛ナノ粒子を塗布して作る安価な紫外線発光ダイオード(LED)など、島根大のシーズ(種)から生み出した8つの技術の紹介と共に、事業化のパートナーや共同開発企業候補の募集を行う。SNCCは2018年10月に創業。山陰合同銀行(松江市)が主に出資しており、地域経済活性化支援機構(東京・千代田区)とごうぎんキャピタル(松江市)が共同で運営する「しまね大学発・産学連携ファンド」から2億円の出資を受けている。

半導体素材コスト1万分の1のLED

現在、照明装置などに普及しているLEDは化合物半導体の窒化ガリウム(GaN)で製造されている。高価な単結晶基板上に真空装置を使ってGaN薄膜を形成するため、販売される最終製品の価格は高くなる。SNCCの社長を務める島根大の藤田恭久教授らは、化粧品にも使う安価な酸化亜鉛(ZnO)の粒子を大気中で塗布して作るLEDを開発してきた。将来的にGaN製に比べて半導体部分の製造コストを1万分の1に抑えられるとみている。塗布技術を使うため大面積に、逆にナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの微細な粒子を使うため極めて小面積のLEDを作れるという。
 LEDを製造するには電気を電子が運ぶn型と、電子の空いた穴(ホール)が運ぶp型の半導体が必要。ところがGaNは真空技術でn型とp型の両方を作れるのに対し、ZnOはp型の作製が極めて難しかった。藤田教授らは炭素と亜鉛の電極間でアーク放電させ、電離した窒素のプラズマをZnOに吸収させることで直径100~200ナノメートルのp型ZnO粒子を作った。ガラス基板上に透明な導電膜、n型ZnO粒子、p型ZnO粒子の順に塗布してLEDを試作(図1)。n型とp型層の界面から波長380ナノメートルの紫外線を発生させることに成功した(図2)。
 安価なZnO製LEDの用途として、ナノメートルサイズのLED素子を縦横に敷き詰めた高精細の「ナノLEDディスプレー」や殺菌用光触媒の励起光などの実現に期待している。

 

図1 : ZnOナノ粒子を塗布して作るLEDの積層構造

図2 : アークプラズマによるZnOナノ粒子の生成とLEDからの発光の様子。蛍光体で赤、緑、青を実現

健康食品エゴマ油を粉末化して機能をアップ

SNCCは島根県の特産品であるシソ科植物のエゴマから抽出する油の事業も展開している。エゴマ油には生活習慣病の予防や認知機能の改善効果があるオメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸が多く含まれる。ところがα-リノレン酸は酸化されやすいため長期の保存ができない問題があった。
 SNCCの技術顧問を務める島根大の吉清恵介准教授は、環状オリゴ糖であるシクロデキストリンを混ぜた水にエゴマ油を加えると沈殿する性質に注目。沈殿物を乾燥させて粉末を作った(図3)。この粉末はエゴマ油がシクロデキストリンに閉じ込められて酸化されにくい。エゴマ油の粉末を動物に摂取させる実験で、通常のエゴマ油に対して約1.5倍吸収されることを確認した。すでにシクロデキストリンを用いた製品開発を手がけるシクロケム(神戸市、寺尾啓二社長)にエゴマ油粉末の製造を委託し、SNCCが販売している。

 

図3 : SNCCが開発して販売するエゴマ油粉末

SNCCはこのほかにも島根大が科学技術振興機構(JST)、古河機械金属、日本バイオニクスと共同開発した酸化亜鉛専用の有機金属気相成長(MOCVD)装置で作った高品質の薄膜、酸化亜鉛ナノ粒子を用いた抗菌剤、音響メタ構造による音波制御、低抵抗で均一な酸化亜鉛透明導電膜、ネオジム磁石からの希土類(レアアース)回収技術、高温超伝導線材の低コスト製造プロセスを紹介する。それぞれの技術を共同開発するパートナー、製造や販売を委託する企業を募集する。

(注)図は全てS-Nanotech Co-Creation から提供された。

小間番号 : 2Q-14 

>>製品・サービス検索はこちら

>>出展者 / 製品・技術一覧はこちら

このウィンドウを閉じる