Nano Insight Japan

【エッペンドルフ・ハイマック・テクノロジーズ】
ナノ粒子からウイルスに至る多彩な分離・分級のニーズに応える遠心分離機シリーズ〜協業を拡大し分離、分級、濃縮、濾過をキーワードにユーザーと共に課題を解決〜

2020年11月27日

himac

ナノ粒子、タンパク質の分離や分画、コロナウイルスのPCR検査の前処理などに遠心分離機は欠かせない存在である。1955年に遠心分離機を開発し、10年以上継続してnano tech展に出展してきた工機ホールディングス株式会社(2018年に日立工機株式会社から社名変更)のC&P事業本部は、2020年7月1日に、「エッペンドルフ・ハイマック・テクノロジーズ株式会社」(以下、ハイマック社)の名で、ドイツのEppendorf 社のグループ会社として新たにスタートした。Eppendorf社は、世界中にバイオサイエンスのための機器や消耗品を提供し、遠心分離機はその主要商品の一つである。新会社は日立工機以来の製品愛称「himac遠心機」の「ハイマック」を社名に携え、Eppendorf社と協業することにより技術力の向上と製品系列の拡充を図った。Eppendorfは1945年の創業で、遠心機に65年の歴史を持つハイマックと75年のEppendorfが組んだ強力なサプライアーが生まれた。遠心機の用途は広く、技術は多岐に渡る。社外の技術も取り込んで、多彩なニーズに応えようと、三菱化工機株式会社の回転式セラミックフィルター、有限会社エス・シー・テクノの円筒竪型高速遠心分離機を取扱製品に加え、nano tech 2021に展示する。ハイマック社はインフルエンザワクチン用遠心機の国内シェアNo.1の実績をもち、新型コロナウイルス検査に用いる遠心機について特設サイトをホームページに設けて、利用の便を図っている。nano tech 2021のセミナーでは、遠心分離機の潜在能力を知ってもらうよう、遠心分離法を用いた分析改善例、サンプル前処理技術などを事例中心に紹介する。

1. 半世紀にわたる豊富な技術蓄積で研究から生産まで対応するhimac遠心機

第二次大戦直後の1947年に、日本学術研究会議はウイルス・タンパク質試料の分離に必要な遠心力10万×g以上の超遠心機の研究開発チームを発足させた。日立工機は試作機の製作依頼を受け、これを基に、国産第一号となる最大遠心力144,700×gの遠心機を1955年に上市した。その後、高性能化、用途展開を進め、最大遠心力は百万×gを超え、適用分野はライフサイエンスからナノ粒子などのマテリアルサイエンス、用途はラボ用の卓上型から生産用の大型機まで(図1)、様々な分離のニーズに応えるhimac遠心機シリーズを提供している。ラボ用遠心機で確認した分離結果は量産機での再現性もよくラボから生産への移行に役立っている。国内のインフルエンザワクチンの多くは生産用CC40NXを用いて作られている。

図1: himac遠心機:左 卓上型CS150NX 1,050,000×g,408mm(H)、右 生産用CC40NX 118,000×g,2,950 mm(H)

遠心機は、分離、分級、濃縮などに使われ、その対象は金属、セラミック、コロイドなど幅広い。多くの機種を準備し、積み上げた経験値を基に、ユーザーの悩みを聞いて、機種を選び、デモを行なって課題解決を確認して、ニーズに応えている。
インクに使う染料や顔料の分離は、超遠心分離機でないと難しい(図2)。CNT膜は遠心機で塗布液の粗大粒子を除くと滑らかになる(図3)。遠心機を用いれば食品や化粧品の劣化の加速度試験ができる。劣化は成分の沈降で起こるが、日常環境の遠心力1×gにおいて56日かけて起こる沈降は、2,000×gの遠心沈降なら40分で起させられる(図4)。

遠心機による染料の分離

図2: 遠心機による染料の分離

遠心分離処理によるCNT膜の平滑化

図3: 遠心分離処理によるCNT膜の平滑化

遠心分離機を用いた加速試験

図4: 遠心分離機を用いた加速試験

2. ナノ粒子の目詰まりを抑制する回転式セラミックフィルター遠心機

ナノ粒子の分離、濾過するときに紙フィルタが目詰まりするという問題に対処しようと回転式セラミックフィルター遠心機:三菱ダイナフィルタ(DyF®)を取扱製品に加えた。製造元は三菱化工機で、エッペンドルフ・ハイマック・テクノロジーズが2019年に国内独占販売権を取得した。三菱化工機は、船や下水道に使うフィルタ枚数が6枚以上の大型のものを直接販売している。

三菱ダイナフィルタ(DyF152/S)

図5: 三菱ダイナフィルタ(DyF152/S)

フィルタの構造とろ過の原理

図6: フィルタの構造とろ過の原理

ハイマック社が販売する装置(図5)は、ドラフトに入るコンパクト卓上タイプである。回転式セラミックフィルターを格納・回転させ、分散液を循環させながらスラリー中のナノ粒子を捕捉し、透過したろ液は回転軸のパイプから排出され、残った濃縮液はろ過室下部から排出される(図6)。ろ過障害となるケーキ形成を回転により抑制し、ナノ粒子の洗浄・濃縮ができるのが特長である。孔径は5 nmから500 nmのフィルタが用意され、目的に応じて使い分ける(表1)。

用途 微粒子分離
酵素などの高分子分離
酵母や細菌の分離
不溶性固形成分の分離
平均細孔径 5 nm 7 nm 30 nm 60 nm 200 nm 500 nm
材質 TiO₂ MgAl₂O ZrO₂ Al₂O₃ Al₂O₃ Al₂O₃

表1 セラミックフィルターの細孔径と材質

3. 連続分離で生産性を高める円筒竪型高速遠心分離機

生産用の遠心分離機を強化しようと、エス・シー・テクノが製造する円筒竪型高速遠心分離機を取扱製品に加えた。最大20,000gの高速遠心で連続分離が可能、ローター脱着・洗浄が容易といった特長がある。円筒状の遠心ロータが、機体上部から本体胴内 (チャンバ内)に垂直に吊下げられている。竪型のため容量を大きくでき、ロータ容量は8 Lある。スラリーはロータの下部から注入され、 分離された粒子はロータ内に沈降し蓄積され、 清澄液は上部排出口から排出させる。 主に工業材料や食品・飲料の分離・精製に 用いられており、高速回転型は、インクや 電子材料用のナノ粒子にも用いられている。

 工機ホールディングスがドイツのEppendorfと組んで生まれた、エッペンドルフ ・ハイマック・テクノロジーズは、協業により製品系列を拡大し、特長ある遠心機を多く提供するようになった。 展示ブース、セミナーを通じ、遠心分離機活用の新たな展開のあることを期待する。

円筒竪型高速遠心分離機

図7: 円筒竪型高速遠心分離機

竪型機の構造と動作

図8: 竪型機の構造と動作

(注)図は全てエッペンドルフ・ハイマック・テクノロジーズから提供された。

小間番号 : 1W-C22 

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