Nano Insight Japan

【リコー】
抗菌/抗ウイルス構造の印刷 ~ナノスケール微細構造の抗菌膜を短時間・低コストで印刷~─

2020年11月25日

RICOH

リコーは、オフィス向けのプリンティング・ドキュメント画像機器を基盤事業としており、現在、価値創造の領域を、一般オフィスからさまざまな業種や現場・社会を含めたワークプレイスへ拡大している。これまでnano tech国際ナノテクノロジー総合展では、2016 nano tech 大賞(バイオ3Dプリンティングほか)、2019 nano tech 大賞(二次電池のインクジェット印刷)、2020ナノマテリアル賞(固体型色素増感太陽電池ほか)を受賞するなど高評価をいただいている。今回も、蓄積してきた印刷技術を発展させ、新しい社会変化に貢献する以下のようなテーマの出展を予定する。

なお、リコーとしてはオンライン展示での出展となるが、「抗菌/抗ウイルス構造の印刷」については、展示会場(東京ビッグサイト)のNBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)のブースで実展示もするので、実物をご覧いただける。本出展紹介では、抗菌/抗ウイルス構造の印刷について、コロナ禍の時代にマッチする注目展示であり、詳しく説明する。

1.抗菌/抗ウイルス構造の印刷

リコーが開発している抗菌/抗ウイルス構造の印刷技術は、微細構造で抗菌作用をもたせる。従来実用化されている抗菌製品は、例えば光触媒材料を塗布したり、薬剤を練り込んだものが主であるが、UV光がないと効果が低下したり、アレルギー反応など人体に影響が出る場合もあった。近年、昆虫のセミやトンボの羽にある微細構造が物理的に菌表面を破壊することで抗菌作用を持つことが発見され、生物模倣した微細構造をSiなどで人工的に製造する研究が注目されている。例えば、大きさが数µmの大腸菌を、0.2 µm周期の突起構造を持つSi表面に置くと、昆虫の羽と同様な抗菌作用が確認されている。こうしたナノスケールの微細構造を製造する手法としては、半導体製造技術やナノインプリント技術など、時間やコストがかかる方法で検討されており、使用可能な素材種類も限られている。

抗菌印刷したフィルム

図1: 抗菌印刷したフィルム

リコーが取り組んでいるのは、長年培ってきた印刷技術を応用して素材自由度の高い抗菌・抗ウイルス微細構造を実現するもので、短時間・低コストで作製できる。図1に、プラスチックのフィルムに抗菌印刷した例を示す。フィルムの白色部が抗菌印刷した部分で、白色でなく無色透明や別の色での抗菌印刷もできる。また、表面コーティングとして一様に印刷するだけでなく、部分的に印刷することも可能である。図2は、繊維状の素材に対して部分的に~100 µm単位で抗菌構造を形成した例である。図左側が加工前、右側が抗菌加工した繊維のSEM写真で、右側写真上方の白色面状部が抗菌印刷されたナノスケール微細構造を有する部分である(写真左下の目盛りは20 µmで、微細構造はサブµmなので見えない)。このように、フィルタやマスクなど繊維状の素材に対して、通気性を維持したまま抗菌性を付与することができる。印刷対象は、紙・プラスチック・布・フィルタほか、様々な材料に抗菌印刷でき、素材も種々の有機系材料が選択可能である。

繊維に抗菌印刷した例繊維に抗菌印刷した例

図2: 繊維に抗菌印刷した例:(左)印刷前、(右)印刷後

図3は黄色ブドウ球菌を用いた抗菌試験結果で、抗菌印刷未加工の表面と接触させた菌(中)と、抗菌印刷加工済の表面と接触させた菌(右)を培養比較した。抗菌印刷で細菌の死滅率99.9%以上であることを確認した。ISOによる抗ウイルス試験においてもインフルエンザウイルスに対して、抗ウイルス印刷でウイルス死滅率99.9%以上であることを確認した。ウイルスのサイズは0.1µm程で細菌の1/10以下なので、抗ウイルス印刷では抗菌印刷より、さらに微細な表面構造にしている。被印刷表面に抗菌部と抗ウイルス部を混在させて印刷することもできる。なお、現在世界中で流行しているCOVID-19ウイルスに対しての効果は不明だが、インフルエンザウイルスと同様の物理的な破壊による効果が期待される。

抗菌印刷したフィルム抗菌印刷したフィルム抗菌印刷したフィルム

図3: 抗菌試験結果:(左)抗菌試験前、(中)試験後、素材のみ印刷、(右)試験後、微細構造化した素材を印刷

2.展示を通したユーザ様との情報交換への期待

リコーの抗菌/抗ウイルス構造の印刷技術は開発段階にある。幅広い用途での抗菌/抗ウイルス印刷の活用を目指し、nano tech展での展示を通してユーザと情報交換する機会にしたいと考えている。用途に合わせたナノ微細構造の強度、基材への濡れ性の調整など、ユーザの要望に応える開発を進めたい。是非、NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)のブースでの実展示や、オンライン展示*でご質問していただき、本技術の活用をご検討いただきたい。
(*:https://unifiedsearch.jcdbizmatch.jp/nanotech2021/jp/nanotech/details/cLLot9TMrgA

(註)図は全てリコー提供

小間番号 : オンライン出展 

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