Nano Insight Japan

【アルバック】
真空技術とナノテクの出会いによる新材料技術とその応用創出への挑戦
~超柔軟透明電極フィルム、高出力キャパシタ、薄型全固体電池~

2019年1月17日

ULVAC

真空装置のスペシャリストとして、装置および材料の研究開発を行ってきた株式会社アルバック(ULVAC、以下アルバック)は、2015年7月、次世代における新たな事業創生の可能性に挑戦するため未来技術研究所を設立した。そこで生まれた成果をnano tech 2019に初出展し、超スマート社会実現に向けた課題へのソリューションを提言する。目玉となる出展品は以下の3テーマである。

①高分散性の金属ナノ粒子インク「ナノメタインク」の創出とそのプリンテッドエレクトロニクス応用展開: 応用例は、フレキシブル透明電極フィルムとそれを用いたフレキシブル分散型EL、柔軟で高精細な印刷配線回路等。

②カーボンナノチューブ(CNT)の新応用形態 : 金属基板上に林立したCNT群をそのままリチウムイオンキャパシタ電極に用い、高速充放電と高エネルギー密度を両立。

③全固体リチウムイオン二次電池用固体電解質膜をMOCVD(有機金属気相成長法)で実現: 正極の導電性向上および全固体電池の薄型化を可能とする。 アルバックは、このような開拓した新材料技術により新しい応用分野の創出を追求しており、開拓を共に行うパートナーを求めている。以下、上記3分野の概要を紹介する。

(1)「ナノメタルインク」の創出とプリンテッドエレクトロニクスへの応用

アルバックでは、真空技術を用いた蒸発法により作製した金属ナノ粒子およびその応用に関する研究開発を行っている。この金属ナノ粒子を有機溶媒に分散させた「ナノメタルインク」を用いて、種々の印刷法により微細な電極配線パターンを形成することが可能である。ナノメタルインクのTEM像を図1に示す。得られるナノ粒子は分散安定性に優れており、高純度で粒度分布もシャープである。ナノメタルインクは、印刷された後、焼成することによって優れた導電性が発現する。ナノ粒子を用いているため焼成温度を下げることができ、柔軟なフィルム基板への適用が可能である。インクジェット印刷法により柔軟なフィルム基板上に形成したAg配線パターンを図2に示す。

図1: 蒸発法により作製した Agナノ粒子のTEM像

図2: インクジェットにより形成したAg配線パターン

さらに、このAgナノメタルインクを用いて、汎用的なグラビアオフセット印刷法により、柔軟なフィルム基板上に視認性の低い微細なAgグリッド配線よりなる透明電極を形成することに成功した(図3)。このAgグリッド透明電極フィルムは優れた柔軟性を示し、折り曲げ耐久性も良好である。この透明電極を用いて分散型EL発光素子を作製したところ、EL素子も優れた折り曲げ耐久性を示し、繰り返し折り曲げ試験(折曲半径1.5 mm、折り曲げ回数2万回)後も輝度の低下が認められない (図4)。

図3: ナノメタルインクを用いてグラビアオフセット印刷

図4: Agグリッド透明電極を用いた
分散型EL素子

(2)CNTによるリチウムイオンキャパシタ高速充電の実現

アルバックは得意なCVD(化学気相成長)法により種々の金属表面にCNTを成長させる研究を行っているが、図5に示すように金属基板上に垂直に成長したCNT群をそのままの形でリチウムイオンキャパシタ(LIC)の電極に用いることを提案している。LICは一般的な電気二重層キャパシタ(EDLC)の原理を用いながら、炭素系材料にLiイオンを挿入したものを負極として用いることで、エネルギー密度を著しく向上させることが出来る。図6は各キャパシタの特性を比較した実験データで、横軸は出力密度で数値が大きいほど高速に充放電ができる。縦軸はエネルギー密度である。LIC(緑)はEDLC(赤)に比較して大幅にエネルギー密度が向上している。しかし、Liイオンの一般的な炭素材料への挿入・脱離反応の遅さに加え、電子伝導性が不十分なため高速充放電には不向きとなる。金属箔上に成長したCNTを負極に用い、これにLiイオンを挿入したもの(青)は、LICの弱点を補って、高速充放電ができることを示している。適用例として、バスや電車を停留所或いは駅で30秒程度で充電して、次の停留所或いは駅まで走ることが可能となり、LICの小型・軽量化にも期待できる。

図5: 金属箔上に成長したCNT

図6: 各種キャパシタの能力比較

(3)全固体リチウムイオン二次電池用電解質膜をMOCVDで製膜

電解液を使用している現在のリチウムイオン二次電池は、液漏れ・発火など安全性に難があり、これらを払しょく出来る固体電解質を用いる全固体電池の研究開発が注目されている。アルバックでは、その固体電解質の製法として、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法の適用を追求している。現行の薄膜電池に使われているPVD(physical vapor deposition,物理蒸着)法では、図7左に示すような3D形状の溝側面が被覆できず、また、バルク電池ではバルクの固体電解質と正極との接触が点接触になり、界面抵抗が高い。MOCVD法は,これらの欠点を解決する。現在、非晶質のLi2.9PO3.3N0.46(LIPON)ではMOCVD法を実現しているが、この材料よりLiイオン伝導率が二桁高い結晶質のLi7La3Zr2O12にMOCVDを適用する技術開発を進めている。
nano tech 2019の会場では、上に紹介した3テーマを中心に、実演や動画を含めて研究開発内容を具体的に紹介する。多くの来場者にお立ち寄り頂き、ご議論頂くことを期待している。

図7: MOCVDによる固体電解質 と正極の接触状況

(図は総て株式会社アルバック提供)

小間番号:5N-04

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