Nano Insight Japan

【王子ホールディングス】
コロイダルリソグラフィーによるナノドットアレイ作製技術と 光学分野、医療分野、分析化学分野などへの応用

2018年12月18日

王子ホールディングス株式会社

王子ホールディングスは、印刷情報用紙・家庭用紙・段ボールなど紙パルプ産業全般を基盤事業としている。nano tech 2019国際ナノテクノロジー総合展には、紙製造技術をベースにした新規分野への展開として、ナノドットアレイ技術を展示する。ナノサイズの微細構造体を容易に大面積で作製する技術であり、様々な分野での応用が期待される。

1.ナノドットアレイ技術とは ~作製方法と特徴~

◆コロイダルリソグラフィーによる周期的微細構造の作製;

本技術は、紙製造の仕上げ工程である塗工(表面コーティング)技術をベースに、図1に示すようなナノサイズの微細構造を作製するものである。コロイダルリソグラフィー法と呼ばれ、微小粒子を一層だけ表面コーティングし、自己組織化により規則正しく配列した微小粒子をマスクとして利用する微細加工法である。
図1左は、本技術で作製した円錐形状ドットのアレイを、電子顕微鏡(SEM)で観察した写真で配列周期は0.3μmである。こうした微細突起構造の形状は円錐だけでなく、円柱・円錐台・波形など様々な形状のものが作製でき、構造の周期は100 nm~5μm程度まで作製可能である。また、図1右のように、大きな周期構造(μm単位)の中に、さらに小さな微細周期構造(100 nm単位)を組合わせた複合構造もできる(右下の寸法スケールは1μm)。

図1: コロイダルリソグラフィーによるナノドットアレイ作製例;
(左)円錐形状ドットアレイ、(右)複合構造ドットアレイ

◆王子のナノドットアレイの特徴 ~大面積・均一・短期応用開発~;

コロイダルリソグラフィー法は従来から学術的に研究されていたが、工業化はこれからである。王子では製紙塗工で蓄積した技術を基に、大面積(最大400×500 mm2)に均一なナノドットアレイを作製する革新技術を開発した。適用基材はSi、石英ガラス、プラスチック樹脂などで、しかも平坦でない表面にも形成できる。従来法である半導体フォトリソグラフィー法と比べると、フォトマスクが不要であり、微小粒子利用により多水準作製が可能であるため、容易に短期間で応用開発できる特徴がある。

2.ナノドットアレイは何に使えるか?

王子では様々な分野でパートナーと協力して、ナノドットアレイの応用を開発している。

◆拡散反射防止フィルム ~光学筐体内部の迷光防止・漆黒化~

ナノドットアレイの光学分野での応用として、図2に示す拡散反射防止フィルムを開発した。本フィルムを貼った表面に光が入射しても、表面からの拡散反射光はどの角度にも殆ど生じない。図右は、表面未加工フィルムと拡散反射防止フィルムを比較したもので、後者は蛍光灯の映り込みがなく漆黒化されている。積分反射率は0.5%であった。例えば、自動車向けHUD(Head Up Display)の光学筐体内での迷光防止に効果を発揮すると期待される。

図2: ナノドットアレイによる拡散反射防止フィルム;
(左)拡散反射防止の原理 (右)表面未加工フィルムへの蛍光灯映り込みと拡散反射防止フィルムによる漆黒化

◆配向制御可能な細胞培養基材 ~再生医療・バイオアッセイへの応用~

医療・製薬分野への応用として、細胞の向きを揃えて培養できる基材を開発した。図3左のSEM写真に示すように、ナノサイズ突起部と平坦部をストライプ状に配置した基材を用意し、その上で筋線維の元になる筋芽細胞を培養すると、図右のように細胞の配向をストライプ方向に揃えることができる。心筋細胞・骨格筋細胞・神経細胞など生体内で配向性を持つ細胞による回収可能な細胞シートが実現でき、再生医療に貢献できると期待される。また医薬品開発での細胞毒性試験(バイオアッセイ)への活用も見込める。

図3: 再生医療・バイオアッセイ用途の細胞培養基材;
(左)ナノサイズ突起部と平坦部をストライプ状配置した基材表面SEM写真
(右)筋芽細胞培養での配向効果;左側は市販培養基材、右側は本開発基材

王子ホールディングスでは、ナノドットアレイの応用を上記以外に、表面増強ラマン散乱による高感度分光分析や、LEDや有機EL等の発光デバイスでの高効率光取り出し等、様々な分野で展開すべく、ご協力いただけるパートナーを求めている。是非、王子の展示ブースに足を運ばれ、ナノドットアレイの実物をご覧になって、活用をご検討いただきたい。

(註)図は全て王子ホールディングス提供

小間番号:5N-05

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