Nano Insight Japan

【NEC】
情報通信技術のNECにおけるナノテクノロジー研究開発の展開

2018年2月2日

NEC

ICT(情報通信技術)企業のNECは、20世紀後半情報化社会への変革に貢献し、基盤技術の半導体LSI(DRAM)においては世界をリードした。今、時代が変わって内閣府の第5期科学技術基本計画が目標とする超スマート社会への変革期にあたって、再び、ICTを基にIoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)が活躍する新しい社会への進展に貢献しようとしている。ナノテクノロジーに関しても、NECの特徴である技術階層の垂直統合型の組織構造を活かし社会のニーズと関連付けて研究開発を行っている。nano tech 2018では、こうした考えに基づく研究活動を12件の成果事例で紹介する。以下に、全体的な展示構想と、12件の中から2件の独創的テーマ、低消費電力で不揮発性のNanoBridge®と称する極小スイッチとカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン集合体、カーボンナノブラシによるナノカーボン技術を紹介する。

1. NECブースの展示概要

NECはICTを源泉として社会価値を創出し社会に提供する会社である。あるべき社会を考えて抽出した社会価値創造のテーマとして表1に示す7テーマを掲げており、ナノテクノロジーについてもこのテーマに沿って研究開発を進めている。nano tech 2018ではその活動を表1に示す12品目の展示で紹介する。

カテゴリー テーマ 出展品目(社会とのつながり)
7つの
社会価値
創造テーマ
地球との共生 スピン熱電変換素子(エネルギーハーベスティング)
量子ドット赤外線センサ(資源探査)
安心・安全な都市・行政基盤 匂いセンサ(危険検知)
安全・高効率なライフライン レーザガスセンサ(広域ガス検知)
豊かな社会を支える情報通信 シリコンフォトニクス(ICTプラットフォーム高性能化)
NanoBridge-FPGA(超低電力センサ端末)
産業とICTとの新結合 感圧シートセンサ(スマート物品管理)
枠を超えた多様な働き方 生体調和型センサ(ストレスモニタリング)
個々人が躍動する豊かで公平な社会 ニオイデータ分析(食品管理)
共通基盤
技術
人工知能による材料開発 マテリアルズ・インフォマティックス
先端材料技術 ナノカーボン
漆ブラックを実現するバイオプラスチック

表1: NECブースの展示テーマと出展品目

NECは、nano tech 2018への出展に当たり、NECの展示ブースにお立ち寄りいただき、個々の技術についてのご評価を頂くと共に、NECの社会価値創出を目指す活動の一環としての研究開発の在り方にご意見を頂くことを期待している。また、個別の展示については、意見交換を通して技術補完するパートナーや新しい応用展開の切っ掛けを得ることを期待している。  以下に NanoBridge®とナノカーボンに関する活動を紹介する。

2. 原子10数個サイズの極小スイッチ素子:NanoBridge - FPGAのサンプル製造開始

NanoBridgeは図1に動作原理を示すように、固体電界質中での金属原子の移動を利用した超小型の電流スイッチである。正電圧を加えると銅原子が析出してオン(導通状態)になり、負電圧を加えれと銅原子は消滅してオフ(遮断状態)になる。

図1: NanoBridgeの仕組みとこれを組み込んだNB-FPGAの断面図

NECは、2003年からこの素子を用いた再生可能回路に関する基礎研究を開始し、2010年より産総研などが推進するオープンイノベーション拠点TIA(Tsukuba Innovation Arena)を活用し、FPGA(Field Programmable Gate Array:ユーザーが論理機能を自由に設定できる論理LSI)の開発を進めてきた(以下NB-FPGA)。2017年、100k-ASIC(特定用途向け集積回路)ゲート相当のNB-FPGAを民間ファンドリ企業の40 nm世代の300 mmウエハ製造ラインを用いて量産し、2017年度末サンプル提供開始予定という。図1の左端にFPGAの断面を示す。一番下にMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)の層があり、その上に配線層が重なっており、縦の配線列の層と横の配線列の層の交点に当たる層間をNanoBridgeで接続してスイッチのアレイを形成している。

  NB-FPGAは、現在主流の電子回路スイッチのFPGAに比較して、放射線耐性に優れエラー発生率1/100以下、チップサイズは1/3、駆動時消費電力1/10であり、革新的進化である。2018年度には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して衛星軌道上での実証実験を行い、また、28nm世代LSIプロセスによるNB-FPGAの開発を進めるとのことである。自動運転などでAI処理を行うエッジ端末、通信機器などIoT機器での基幹部品として期待される。

この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。

3. ナノカーボンの新しい仲間:カーボンナノホーン集合体とカーボンナノブラシ

NEC研究所では、図2に示す通り、1991年に飯島氏によるカーボンナノチューブ(CNT)の発見、1998年に同じく飯島氏によるカーボンナノホーンの集合体(CNHs)の発見、そして2015年の弓削氏による繊維状カーボンナノホーン集合体(カーボンナノブラシ(CNB))の発見と、ナノカーボンの形態について3つの新発見をしており、それぞれの応用展開を精力的に進めている。

図2: CNTをはじめとするナノカーボン群にカーボンナノホーン集合体(CNHs)とカーボンナノブラシ(CNB)が加わる

最初に発明したCNTについては、国内外で広く応用展開まで行われているが、NECでは、IoT時代の基盤技術として薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)に適用し、センサ応用に進んでいる。また、CNTの金属と半導体を分離する独自の電気泳動を活用したシステムを開発し、近く製品化の予定である。

次に発見したCNHsは、製法はレーザ蒸発法でありCNTに比べて製造が容易で、分散性も高い。しかし、混合物への導電性付与ではやや劣る。NECでは大規模な製造装置を開発し、現在1 kg/日の生産能力があり、サンプル出荷している。応用分野では、燃料電池の触媒担持体、リチウムイオン電池の導電材料、アクチュエータの電極材として実用化に向かっている。

3番目に発見したCNBは、上記CNHsの製造装置内で発見されたものであり、製造は比較的容易で、2017年7月から大学、国立研究機関等へのサンプル提供を開始している。CNHsの弱点を補って、CNBとCNBの分散混合物の導電性は10倍以上に改善され、CNHs同様分散性が高いので、複合材に金属的特性を付与する。高比表面積であるため高吸着性であり、キャパシタに適用すると、従来製品の半分の大きさで2〜3倍の急速充放電・高出力が得られ、アクチュエータでは従来の5倍の応答速度でより大きな変形量が得られるという。混合物の成膜性では、CNHsのような球状物で乾燥時の凝集による斑が起こらず、均一な薄膜が得られる。CNBは生まれて間もないが、IoTデバイス(センサ・アクチェータ等)、環境デバイス(キャパシタ、燃料電池、リチウムイオン電池等)など広い応用分野で価値を発揮することが期待される。

小間番号:4J-18

>>最新フロアレイアウトはこちら

>>出展者 / 製品・技術一覧はこちら

このウィンドウを閉じる