オランダ・ハイテク・パビリオン
形状自在・多機能集積でOLEDディスプレイ・心電図測定パッチなどを協創する フレキシブル&プリンタブルデバイスR&Dソリューション

2017.2.7

nano tech 2017 オランダ・ハイテク・パビリオンには、オランダ応用科学研究機構 (TNO)、TNOとベルギーのIMECが設立したHolst Centreほか、下表の10数社が出展する。TNOとHolst Centreの展示の主題は、積層造形技術”Additive Manufacturing”、そして既存の印刷技術をハイブリッド・インテグレーションしたフレキシブル&プリンタブルデバイスR&Dソリューションである。自由な形状/多機能集積/大面積のフレキシブルデバイスをパートナーとの協創開発で、OLED照明/ディスプレイ・心電図測定パッチなどを創出する。

オランダ・ハイテク・パビリオンには様々な特徴ある技術を展示

出展者 出 展 内 容
Dannalab X線解析技術中心とした医薬、生物製剤、薬剤輸送システムの生化学研究受託
Delft IMP Delft工科大学の技術で、原子層または分子層堆積による粒子のナノ構造化、
DENSsolutions MEMSデバイスを用いた環境制御による試料の透過電子顕微鏡その場観察
DoMicro MEMS、半導体、光技術など様々な技術のハイブリッドエレクトロニクス化
Holst Centre 異種材料のハイブリッド印刷による機能集積/大面積フレキシブルデバイス
LipoCoat 微小器官の汚染を防ぐ生物体表面コーティング;Twente大学のスタートアップ
NanoNextNL マイクロ/ナノテクノロジーの共同開発を行うコンソーシアム
nanoPHAB Eindhoven工科大学のスピンオフでナノフォトニクスのファウンドリー
SCIL Nanoimprint
Solutions
LED、レーザ、光部品、バイオセンサ等の大面積・大量ナノインプリント
Single Quantum 超伝導単一光子検出器。検出効率75%、タイミングジッタ20ps以下
Simbeyond OLED、OPV、OFETなどの光電変換機能の分子レベルシミュレーション
Surfix ナノデバイスの性能・品質を高めるナノコーテイングによる表面改質
TNO 材料、製法、生産まで一貫したAdditive Manufacturingの協創ソリューション
VSParticle 気相でのスパークアブレーションによるナノ粒子の高速合成

TNO のAdditive Manufacturing協創ソリューション

図1: AM(3D印刷)によって作られた電子回路

TNO、オランダ応用科学研究機構は1932年にオランダ議会により設立された中立の総合研究機関(NPO)で3,000人を超える研究員を抱える。技術シーズの実用化、共同研究、受託研究等のサービスをコラボレーションの下に提供し、委託研究費、共同研究費を中心に運営している。
 TNOは、重要なテーマについて、使命であるコラボレーション推進のための組織を設ける。先進的なフレキシブル&プリンタブルエレクトロニクス開発を志向したHolst Centreを立ち上げ、引き続き最先端太陽電池開発協業を目指したSollianceも設立、2016年12月にはAMSYSTES (Additive Manufacturing System) が設立された。
 TNOでは、2025年には賢明(smart)で個別化(personalize)され自律的(autonomous)に働くデバイスがIoTを構成し、太陽電池がエネルギー供給に重要な役割を果たすと見る。TNOのフレキシブル・大面積エレクトロニクスとAdditive Manufacturing (AM、積層造形) はこの動向に応えるものとして開発を進めている。
 AMは一層ずつ重ねて製品を作るため、用途に応じた最適な形状を製造工程の制約なしに可能にする。身近なところでは客の好みの形状の食品(パスタやパンケーキなど)を作り、会議後の宴会に出席者ごとに異なる料理を出した例もある。靴の中敷に適用し、足の形に合わせ、硬軟の分布をつけられる。医学分野では歯や骨を患者に合わせてつくることができる。工業分野では、あらゆる複雑な形状の部品(図1)も作製可能だ。同様な技術での製品化も他社で行われているが、TNOの特色は、材料、プロセス、装置、製造ラインまで一貫した技術を持つことで、製造者が求める商品を、材料、製法開発からパイロットライン構築まで一貫して共同開発することである。詳細な工程を示す動画が展示会場に用意される。

Holst Centreのハイブリッド印刷による機能集積/大面積フレキシブルデバイス

図2: フレキシブル&プリンタブルデバイス

図3: フレキシブルOLED

Holst Centreは2005年に、TNOとベルギーの国際的半導体研究機関のIMECがオランダEindhovenにあるPhilipsの敷地に設立したオープン・イノベーションのための研究開発機構である。名称はPhilips研究所初代所長の名(Gilles Holst)に因む。地方自治体と政府が支援し、全世界50社を超えるパートナー企業(日本企業は10社を超える)が参加して支える。
 Holst Centreのビジネスモデルは、Partnershipの下でのShared Innovationである。200人の研究者を擁し、パートナーからの派遣駐在研究者と共に研究開発を進める。大学とも連携する。パートナーと開発テーマを決めたら、最長10年先を見たビジョンのもとにロードマップを作成・共有し、最適な研究プログラムを創出して製品化までをサポートする。目標製品に必要な技術、機能、応用を明らかにし、材料、製法、装置、製造のすべての段階を包括した共同開発を行う。
 技術の柱は、フレキシブル&プリンタブルデバイス(図2)に向けたLarge area deposition(大面積堆積、ロール・ツー・ロール製造)、 Hybrid printing(複合印刷)、TFT(薄膜トランジスタ)の3つである。これらの技術をもとに、OLED、次世代バッテリー、 ヘルスケアデバイス、各種の表示デバイスなどを開発する。車のダッシュボード機能を統合してナビ情報が見られるようにしたり、柔らかい感光体を体や手のひらに貼ってX線写真を撮影する、超音波エコー用の柔らかいセンサなども視野に入る。
 大面積堆積の対象は、OLED、 照明、太陽電池などである。OLEDでは、発光体となる有機化合物を湿気などの環境から守るバリア材が必要になる。アメリカのセラミックスメーカーが薄くてフレキシブル、防湿機能を持った基板を提供、 Holst Centreが表側の封止層を堆積し、配線を印刷してフレキシブルOLEDを作った(図3)。OLEDに続いて薄い電池の開発も進めている。
複合印刷では、フレキシブル基板に、インクでセンサや回路を印刷する。スクリーン印刷、インクジェット印刷のいずれも可能である。心拍測定用のパッチ、湿度センサ、圧力センサなども試作している(図4)。ECG センサは、筋電位測定電極、Ag/AgClインクによる回路配線を組み合わせて作製する。湿度センサはポリマーの抵抗変化で検知する。圧力センサは重さを検出し、荷重のかかり方を判断することで様々なアプリケーションに展開可能だ。
 TFTでは、マイコンをTFTで作った。ディスプレイのバックプレーンに用いフレキシブルディスプレイを狙う。心臓の動きを測るパッチにも使える。NFC (Near field communication、近距離無線通信)の回路を組み込んでスポーツ選手が練習の時に体につけ、コーチが心拍数をモニタすることも可能になる。薄くて透明感のあるサイネージ(電子看板)には、時計も入れられるようになる。

図4: ハイブリッド印刷による機能集積/大面積フレキシブルデバイス (左からTシャツに搭載したECGセンサ、湿度センサ、圧力センサ)

フレキシブル&プリンタブルはIoTへの貢献に向け進化

IoTに用いるデバイスに求められる機能のひとつがウェラブルである。自在に複雑な形を作るAdditive Manufacturing、Hybrid Printingなどで作られるプフレキシブル&プリンタブルデバイスはこの要求に応える。Shared Researchと呼ばれるオープン・イノベーションを通してIoTで求められるデバイスが生まれつつある。製造工程や成果物の特徴は、一見することで容易に理解できるだろう。                     

(註)図は全てオランダ・ハイテク・パビリオン提供 

 

小間番号:6V-01

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