株式会社リコー
インクジェット技術のインダストリー分野向け新展開と 光学&レーザー応用のインダストリー用新製品

2017.2.1

リコーは、オフィス向けのプリンティング・ドキュメント画像機器を基盤事業としている。nano tech国際ナノテクノロジー総合展には昨年度初めて出展し、ヘルスケア・グリーン・ナノファブリケーションの分野での新技術を展示し、初出展ながらnano tech 大賞を受賞した。今回は2回目の出展となり、コンセプトとして「想像しよう 未来の社会をともに ~リコーの技術で変革を オフィスからインダストリー・ヘルスケアへ ~」を掲げ、表1に示す12テーマを出展する。

出展カテゴリー テーマ名称
インダストリー インクジェット ①薄膜ピエゾアクチュエータを搭載した産業用インクジェットヘッド
②インクジェットプリンティング法によるピエゾ膜形成技術
③LED硬化型UVインク
④高安全性水性レジンインク
光学&レーザー ⑤薄型測距センサー
⑥機能性フィルム用レーザーパターニング装置
⑦スペックル低減 マイクロレンズアレイ
⑧組込式超短焦点小型プロジェクターモジュール
材料&デバイス ⑨高感度タッチセンサーシート(発電ゴム)
⑩室内光環境発電素子
ヘルスケア ⑪バイオ3Dプリンター
⑫インクジェット技術を応用した微細造粒技術

オフィス向け画像機器の開発で長年蓄積してきたインクジェット技術や光学&レーザー技術を、インダストリー分野の各種用途向けに新開発している技術を中心に展示する。この中で特に注目していただきたい2つのテーマ;②インクジェットプリンティング法によるピエゾ膜形成技術と、⑥機能性フィルム用レーザーパターニング装置について、以下に紹介する。

1.インクジェットプリンティング法によるピエゾ膜の応用分野の拡大

ピエゾ膜(圧電素子)はIoTやロボティックスが普及するこれからの時代に大きな役割を果たすデバイスである。形状を自由にデザイン成形できるインクジェットプリンティング技術がその製作に適用できれば、ピエゾ膜の応用分野は限りなく広がる。リコーはその技術の開発を進めている。

インクジェットプリンティング(IJP)法とは

図1: IJP法の基本構成

優れた圧電性能をもつチタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3 (PZT) は、インクジェットプリンタのヘッドアクチュエータに使われている。PZTのピエゾ薄膜は、従来はSiウェーハ上にスピン塗布によって形成してから、エッチングで削り出してデバイス化していた。リコーでは今回、インクジェットでPZTを基板上の必要な場所にだけ直接、印刷する技術を開発した。図1はIJP法の基本構成で、インクジェット(IJ) ヘッドからPZTのゾルゲル液をインク滴として吹き出し、基板上の親水領域にのみ塗布する。PZTが不要な領域は、表面処理により撥水性を持たせ、PZTインクが染み出さないようにしている。

IJP法の特徴・メリット

図2: IJP法のプロセスフロー

本方法の特徴は、膜形成プロセスが簡単で低コスト、材料に無駄がでない、膜厚を10μmまで厚くできるので発生圧力がバルクPZTに近い大きさになる点にある。厚膜化は、IJP法のプロセスフロー(図2)にあるように、3.撥水処理~7.結晶化までを繰り返して、PZTを重ね塗りすることで達成される。1サイクルで0.5μm×20サイクルで10μm厚になる。PZTがIJPされるシード層はフォトリソグラフィーで形成されるので、1μm精度で形成できる。PZTを含むゾルゲルインクは、ノズル詰まりがなく安定して吐出するように溶媒を調整している。 IJP法のプロセス繰返し(15分/サイクル)は、自動化された製造装置になっているので、人手はいらない。

応用分野の拡大

図3: 膜厚の異なるパターン形成

本IJP法の適用デバイスとしては、インクジェットプリンタヘッドだけでなく、医療用の超音波イメージャ、車載用の加速度センサー・超音波センサーなどが期待される。さらに、同一基板上に膜厚が異なるPZTパターンを同時に形成することも可能である。図3は10μm厚と5μm厚(プロセス繰返し回数が同じで塗布量が半分)のPZTを形成した例で、同一基板上に異なるPZT膜を一度に形成できるのは本方法だけで、超音波の発生と受信など、目的にあった膜厚のPZTを同時に形成できる。

2.機能性フィルム用レーザーパターニング装置

図4: RICOH LA-1100 (左)コントローラ部 (右)装置本体

レーザーパターニング装置の適用領域

スマートフォンのタッチセンサー上への回路パターン形成法としては、従来はマスクを使用した湿式エッチングによる薄膜加工が主流であった。リコーは今回、レーザー光照射で直接(マスクなしで)エッチングしてしまうレーザーパターニング装置を製品化した。タッチセンサーだけでなく、フレキシブルデバイスの配線加工や、太陽電池のスクライビング加工他に活用できる。図4が装置の写真で、右側の装置本体のサイズは1780×1520×1925 mm3とロールtoロールとしては世界最小の設置面積で(フィルム幅600mmの場合)、カットシートにもカスタム対応が可能。

◆レーザーパターニング装置の特徴

図5: NiCr (0.5μm厚)へのパターン形成

本装置の特徴は、回路パターン形成工程が大幅に簡略化され、業界トップレベルの10μm 細密配線が加工できる点にある。レーザー光源はリコーが開発したピコ秒パルス幅のファイバレーザーで、熱発生を少なくすることで基板ダメージがない微細加工を実現している。図5は金属薄膜(NiCr、0.5μm厚)をナノ秒パルスレーザー照射(左側)とピコ秒パルスレーザー照射(右側)でパターニングした顕微鏡写真で、円形スポットのレーザー光パルスを連続的に照射した痕跡(パルスマーク)が、ピコ秒にすることでなくなりスムーズなパターンが形成できている。レーザー光パルス幅は50 ps~10 nsの範囲で可変であり、パターニングする材料に最適なパルス幅に設定できる。これにより、タッチセンサーではITO等透明電極と銀ペースト等引き出し配線の異種材を一括で加工できる。
リコーがレーザープリンタで蓄積してきたレーザースキャン光学系や紙送り搬送系の技術をベースにして開発されたもので、小ロット・多品種の配線パターニングに向いている。是非リコーの展示ブースに足を運ばれて、加工サンプルをご覧になって本装置の活用をご検討いただきたい。                       

(註)図は全てリコー提供 

 

小間番号:4J-15

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